患者様より寄せられる矯正治療に関するご質問とご回答をまとめました。
1.治療に必要な歯並びの基準はなんでしょう?
通常、私たち矯正歯科医が診て、完全に美しい歯並びと咬み合わせの人はほとんど稀で、大なり小なり悪いところがあるものです。日常生活に支障をきたしていると考えられる場合、治療の対象となります。また、口元が出ているなど、歯に起因する顔の美醜も問題になることがあり、劣等感など精神的問題につながることもあります。簡単な歯並びや咬み合わせのチェックには、以下のようなことが挙げられています。 1. 顔や歯並びが左右対称か。 2. 横顔で唇がひどく出ていたり、引っ込んでいることはないか。 3. 上の歯はすべて下の歯を覆っているか。 4. 上下の前歯の中心が一致しているか。 5. 歯が重なっていたり、間に隙間はないか。 6. 前歯がひどく伸びだしていることはないか。 7. ひどく磨り減っている歯はないか。 8. 口臭が気にならないか。
2.歯並びによる悪影響とはどんな事でしょうか?
歯並びが悪いのをずっと放置すると、どんな不具合が起きるのでしょうか。 悪い歯並びや咬み合わせがあると、以下のような問題が起こると考えられています。 1. 顎の正常な成長・発育が阻害される。 2. ますます歯並びや噛み合わせが悪くなる。 3. 硬い食物を食べることが困難になる。 4. むし歯や歯周病になりやすく、歯の寿命が短くなる。 5. 口元が悪く、劣等感を感じることがある。
3.治療の一般的な期間と費用を知りたいのですが?
矯正歯科治療は健康保険が適用できません。従って、治療費全額が患者さんの自己負担となってしまいます。通常、複雑なマルチブラケット装置などの精密な装置を使用する場合、治療完了まで総額で30~110万円の範囲です。次に、治療期間ですが、不正咬合の著しい場合は装置を入れておく期間が2~3年程度かかることもあり、反対に簡単な治療で改善する場合には半年程度で済むこともあります。受け口など顎に問題がある場合などは、はるかに長い期間に及ぶ場合もあります。
4.痛みについて知りたいのですが?
通常、マルチブラケット装置を入れ、歯の移動を開始すると歯が周囲の歯肉や骨を圧迫したり、装置が唇や頬の裏側に擦れるなどで痛みが発生します。痛みの程度や持続期間には個人差がありますが、子供では3 日間程度、成人では1週間程度痛みが持続します。それ以降になると、痛みは徐々に軽減し、食事もできるようになってきます。
5.食事は普通にできるのですか?
矯正の装置を入れた当初、痛みが持続します。それ以降になると、痛みは徐々に軽減し、軟らかい食物を摂取できるようになってきます。しかし、歯が移動し揺れてきますので、当分の間、繊維性の多い野菜やお肉を噛む際に痛みが生じ、噛み切ることができない場合もあります。よほど硬い食物は別にして、じきに通常の食事ができるようになってくると考えられます。
6.歯磨きの注意点はありますか?
矯正の装置が入ると、確かに十分に歯磨きをすることがかなり困難になります。従って、当院では装置を入れる前に十分な歯磨き指導を行っております。最近では、フッ素入りの歯磨き粉が多く、むし歯の発生はかなり低くなりましたが、粘着性のある食物は極力避けていただき、食事の後は必ず歯磨きをするようお願いをしています。奥歯の装置周辺はとくに食物の残りカスが停滞しやすく、むし歯の発生や歯肉が盛り上がることがあります。外食される場合には、必ず歯ブラシを持参するようにしてください。学校などで歯磨きができにくい場合は、せめてウガイをするようにお願いします。矯正用の歯ブラシや円錐形の歯間ブラシもありますので、複雑な装置の周辺ではこれらを併用することをお奨めいたします。
7.保定装置とはどんな物ですか?
歯並びや咬み合わせの改善のための歯の移動が終わると、新しい歯の良好な位置を安定、維持するための保定が始まります。移動完了直後の歯はかなり動揺しています。これは、歯の周囲の骨や歯肉などの組織がしっかり歯を堅固に取り巻いていない理由によります。従って、保定装置を使用しなければ、もとの悪い不正咬合に戻ってしまうことになりかねません。通常、1 年以上は毎日保定装置を使用する必要があります。どうしても忘れてしまう場合には、固定式の保定装置に切り替えることも考慮に入れなければなりません。